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プログラムレポート ~先端科学技術研究センター(駒場リサーチキャンパス)見学(第4期)~

2010年7月12日

駒場リサーチキャンパス:時計塔がある13号館
駒場リサーチキャンパス
時計塔がある13号館

7月2日の柏キャンパス見学に続き、7月3日は東京大学駒場リサーチキャンパスにある先端科学技術研究センター(以下先端研)の見学会を行いました。先端研は、学術の発展と社会の変化から生じる新たな課題へ挑戦し、人間と社会に向かう先端科学技術の新領域を開拓することによって、科学技術の発展に貢献することを目的とした附置研究所です。

午前は、はじめに先端研の中野義昭所長から当日の全体スケジュールの紹介と、先端研における研究活動の概要について説明をしていただきました。先端研では、「情報」「バイオ」「環境・エネルギー」「材料」「バリアフリー」「社会」の六つの研究領域において、ダイナミックに研究活動が展開されているとのことでした。



先端研を説明される中野所長察
先端研を説明される
中野所長

次に、三分野の研究室見学に先立ち、各分野の先生方から、それぞれの研究内容を簡単に紹介していただきました。お話しいただいたのは、情報系分野の森川博之教授、医学・生命系分野の浜窪隆雄教授、エネルギー系分野の中野義昭所長・教授です。

その後、受講生は三つのグループに分かれて、順番に三分野の研究室の見学をしました。情報系分野の森川研究室では、大学院生の皆さんが取り組まれている研究を、実演を交えながら紹介していただきました。無線センサネットワークによる地震モニタリング、電波の見える化、光パケットネットワークなど、将来の情報ネットワーク社会を予感させるものでした。


電波の見える化の装置
電波の見える化の装置
コンピュータ・シミュレーションによる分子医薬モデリングを説明される高松院生
コンピュータ・シミュレーションによる分子医薬モデリングを説明される高松院生
防塵衣に着替えて、クリーンルームの中を見学
防塵衣に着替えて、クリーンルームの中を見学

医学・生命系分野の浜窪研究室では、新しい抗体治療薬の設計と実用化をめざし、どのような研究が行われているのかについて、コンピュータ・シミュレーションによる分子医薬モデリング、高感度プロテオミクスによるバイオマーカー探索を、高松祐一郎博士課程院生、川村猛特任助教からそれぞれ説明していただきました。

エネルギー系分野の中野研究室では、太陽光エネルギー利用の可能性について、クリーンルームで渡辺健太郎特任助教から、高効率太陽電池の開発、化合物半導体の結晶成長と太陽電池セルプロセスを見学しながら説明していただきました。その後、太陽電池測定評価室に移動し、半導体、薄膜、太陽電池の評価システムの説明をしていただきました。

午後は、福祉、バリアフリー、コミュニケーションをキーワードに、二つの講義がありました。まず、人間情報工学を専門とされる伊福部達特任教授からは、「『見る』『聴く』『話す』を助ける福祉工学」をテーマとした講義。引き続き、バリアフリー分野を専門とされる福島智教授による「バリアフリーという戦略」の講義。福島教授は9歳で失明し、18歳で失聴された全盲ろう者です。主なコミュニケーション手段は指点字と点字ピンディスプレイです。ご自身の体験と実感に基づいたバリアフリー研究のお話は、受講生にとり大きな刺激となったようです。今回は特別、全受講生が指点字と点字タイプラーに挑戦しました。福島先生の手の甲に、自分の名前を指で叩き、福島先生に名前をあてていただき、点字タイプライターでは、自分の名刺に自分の名前を打ち込みました。ほとんどの受講生にとり、指点字も点字タイプライターも初めてで、指点字で自分の名前を福島先生に伝えることができたときは、大変感激だったようです。

点字タイプライターを説明される福島教授
点字タイプライターを説明される福島教授
指点字と点字タイプライターに挑戦する受講生
指点字と点字タイプライターに挑戦する受講生

先端研がめざす「人間と社会に向かう先端科学技術の新領域を開拓」している様子を垣間見た一日でした。



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