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プログラムレポート ~宇宙と「無」:星空観望と坐禅(第8期)~

2012年11月17日

赤城山中腹にある宿
赤城山中腹(標高約900m)にある宿

EMPのハイライトの一つである「星空観望会」と「坐禅研修」が2012年11月18日から19日にかけて群馬県で行われました。
11月18日午後4時に本郷キャンパスを出発して貸切りバスで揺られること約3時間、赤城山中腹の宿に到着。今までにない快晴で、星空観望には絶好の天候に恵まれました。

法政大学の岡村定矩教授(前東京大学理学系研究科教授)による解説で、アンドロメダ銀河、プレアデス星団の探し方を学び、岡村教授の天空まで届くようなレーザーポインターの導きにより、実際にそれらを肉眼やフジノン大型双眼望遠鏡(富士フイルム製)で見ることができました。
ほとんどの人が、地球から約230万光年の距離に位置する「アンドロメダ銀河(M31)」を肉眼で確認することができました。また、木星とその周囲を回る4つのガリレオ衛星が左右に2つずつ一直線に並んだ様子や、倍率を上げた望遠鏡では木星の縞模様が鮮明に見えたのは感動的でした。

星空観望会のあとは、室内で高梨直紘特任助教による国立天文台が開発した4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka(ミタカ)」を用いて地球から宇宙の果てまでを俯瞰したプレゼンテーションがあり、宇宙の広大さに驚きながらも、漠然と考えていた地球、太陽系、銀河系、宇宙の位置関係や大きさなどが理解できたようです。

星空観望の様子  星空観望の様子  星空観望の様子
星空観望の様子

翌日(11月19日)も天候に恵まれ、紅葉の赤城山をあとに、群馬県桐生市の臨済宗建長寺派宝徳寺に向かいました。向嶽寺僧堂師家・小島岱山老師による坐禅と公案(禅問答)の実習です。
小島老師による提唱のあと、いよいよ坐禅実習です。午前9時半から午後2時半までの5回(1回あたり30分)の坐禅実習はまさに「修行僧」になったような5時間でした。

茶禮で講話する小島老師
茶禮で講話する
小島老師

小島老師との一対一の公案では、あらかじめ問題が出され、それに答えるものですが、考えれば考えるほど答えが分からなくなってしまいます。頭で考えるのではなく、ヒントは「なりきる」、「我をなくす」ということだそうです。
この公案の実践は、ほとんどの受講生にとっては初めての体験で、大変刺激的だったようです。既成の価値観にとらわれず、自己の内面を探求する貴重な体験となりました。
最後に「仏教思想」の講義を担当した人文社会系研究科の丸井 浩教授からの「『無』になることは一日では難しいが、この体験がいつか分かることがあるでしょう」とのコメントに納得。

自然との一体感を味わいながら、壮大な宇宙を眺め、小宇宙という自己を探求し、「無」とは何かを考える2日間でした。

小島老師による提唱
小島老師による提唱
坐禅研修風景  座禅研修風景
坐禅研修風景


宝徳寺の紅葉と枯山水庭園  宝徳寺の紅葉と枯山水庭園  宝徳寺の紅葉と枯山水庭園
宝徳寺の紅葉と枯山水庭園
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