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プログラムレポート ~柏キャンパス見学(第13期)~

2015年6月30日

EMP第13期では、6月26日、東京大学主要キャンパスのひとつである柏キャンパス(千葉県柏市)の施設見学を行いました。2000年に新しい学問領域の創造を目指して開設された柏キャンパスでは、様々な新しい取り組みが行われており、その最先端分野の研究施設を見学しました。

見学に先立ち、物性研究所の家泰弘教授から、柏キャンパスの概要についてお話しいただきました。従来の枠組みには入らない先進的な研究系も多く集まる柏キャンパスには、本郷キャンパスなど他のキャンパスと違った魅力があることがわかりました。その後、「磁石、磁力、磁場」についてのミニレクチャーがあり、それと関連して昼食後の休憩時間に強力磁石と高温超伝導体を使ってデモ実験が行われました。

家教授によるミニレクチャー
家教授によるミニレクチャー
家教授による強力磁石と高温超伝導体を使ったデモ実験は驚きの連続でした
家教授による強力磁石と高温超伝導体
を使ったデモ実験は驚きの連続でした
伊藤教授による「ソフトマター」の講義
伊藤教授による「ソフトマター」の講義

最初の見学はカブリ数物連携宇宙研究機構 (IPMU) の施設で、4名のIPMU専任教員や研究員らに案内していただきました。IPMUは世界から数学、物理学、天文学の研究者を集め、共同で宇宙の謎に挑んでいます。専任研究者の半数以上は外国人で、公用語は英語という国際性の高い施設です。
研究者間での活発な議論が行われることを狙い、入口から屋上階まで各研究室を繋ぐらせん状の廊下、建物の中央にある広々としたラウンジやテラスなど、お互いに顔を合わせる機会を多く創り出すような工夫が随所に見られます。

以上の研究施設見学を行った後、物性研究所に戻り、新領域創成科学研究科の伊藤耕三教授より「面白くて役に立つソフトマター」の講義がありました。8の字架橋構造を持つゲルの物性の話に始まり、その素材を利用していかにしてベンチャービジネス立ち上げ、どのような成果をあげているのか、受講生一同興味深くお話を伺いました。

カブリIPMUの建物の屋上
カブリIPMUの建物の屋上
広々としたIPMUラウンジ
広々としたIPMUラウンジ
説明する研究員
説明する研究員
(左から、Dr.Milanov、Dr.Schulze、
Dr. Bickerton、Dr.More)

昼食の後は2班に分かれて、物性研究所の超強磁場実験棟と先端分光実験棟を見学しました。国際超強磁場科学研究施設では、パルス強磁場を用いて強力な磁場を発生させ、物質の性質を変化させたり、物質の電子状態を調べる研究を行っており、国内外の強い磁場を必要とする物性共同研究などに寄与しています。
最初に、嶽山正二郎教授、池田暁彦助教の案内のもと、破壊型の電磁濃縮超強磁場発生装置を見学しました。巨大なコンデンサーに貯められた膨大な電流を一気に流すことで、700~800テスラに及ぶ超強力な磁場を瞬間的に発生させることができ、実験によってねじ曲がったり、砕け散った部品の数々に、磁場の力の凄まじさを感じました。 現在、1,000テスラの発生に向けた開発も進行中。

強磁場発生装置用大型コンデンサーの前で説明する嶽山教授
強磁場発生装置用大型コンデンサーの前で説明する嶽山教授
電磁濃縮超強磁場発生装置の解説をする池田助教
電磁濃縮超強磁場発生装置の解説をする池田助教


金道浩一教授、徳永将史准教授の案内により、ギネスブックにも登録されている世界最大の発電能力を有する直流発電機としてフライホイール付き直流発電機を見学しました。金道研究室では、様々な用途に応じて特殊なマグネットの開発を行っています。金道教授が開発したマグネットは、線材強度や緻密な巻き方などに工夫があり、「金道マグネット」とも呼ばれており、非破壊パルス強磁場(単パルス)としては、世界最高の85.8テスラという記録を樹立しているそうです。

「金道マグネット」を手にして説明する金道教授
「金道マグネット」を手にして説明する金道教授
フライホイール型直流発電機の解説をする徳永准教授
フライホイール型直流発電機の解説をする徳永准教授


極限コヒーレント光科学研究センターの先端分光実験棟は、大規模なクリーンルームと除振床を設置し、極限的性能を持つレーザーの開発やレーザーを用いた物性研究を行っています。
辛埴教授の研究室では、レーザーと光電子科学の両者を結びつけた新しい光科学を目指し、その中で特に重要と思われる究極のエネルギー分解、時間分解、空間分解を可能にする3つの分野で、世界最高の性能とそれを用いた新しい物性研究を行っています。辛教授の解説により、極限レーザー実験室で、開発中の最先端レーザーなどの見学をしました。 板谷治郎准教授の研究室では、高強度超短パルスレーザーを用いた超高速物理現象に関する研究を行っており、「高次高調波」とよばれるコヒーレント短波長光の発生装置などの実験装置群の見学をしました。

実験装置について解説する辛教授
実験装置について解説する辛教授
研究について説明する板谷准教授
研究について説明する板谷准教授


続いて、新領域創成科学研究科では二つの実験室を見学しました。 先端エネルギー工学専攻の堀洋一教授/藤本博志准教授の研究室では、「電気自動車」、「非接触電力伝送システム」、「人間親和型モーションコントロール」、「ナノスケールサーボ」、「パワーエレクトロニクス」、「航空・宇宙機制御・ロボティクス」の6つのテーマで研究を行っています。電気自動車ガレージで、それぞれの解説を聞きながら、キャパシタ搭載電気自動車、非接触電力伝送システム、電気飛行機、電気自動車運動の制御、ワイヤレスインホイールモータ等の見学をしました

複雑理工学専攻の高瀬雄一教授の研究室では、将来のエネルギー源として期待される核融合の実現を目指した高温プラズマの研究を行っています。基盤科学実験棟で、高瀬教授の説明の後、プラズマを磁場で閉じ込める方式の一つである球状トカマク装置を見学しました。

ワイヤレスインホイールモータについて説明する堀教授
ワイヤレスインホイールモータについて
説明する堀教授
4輪独立駆動の電気自動車「Kanon号」
4輪独立駆動の電気自動車「Kanon号」
球状トカマク装置「TST-2」について解説する高瀬教授
球状トカマク装置「TST-2」について
解説する高瀬教授

今回の柏キャンパス見学では、知の最前線に立って前人未踏の最先端の研究に取り組む研究の現場の臨場感を身近に感じ、座学では得ることのできない貴重な体験をすることができた一日でした。  

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