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プログラムレポート ~生産技術研究所見学(第16期)~

2017年1月16日

生産技術研究所の研究棟
生産技術研究所の研究棟

第16期プログラムでは1月13日、駒場リサーチキャンパスにある東京大学生産技術研究所の施設見学を行いました。
生産技術研究所は、1949年の創設以来、一貫して工学のほぼ全領域を広くカバーする研究教育活動を展開しています。「生産技術」の名前の通り、それぞれの分野において卓越した研究成果の創出と社会への発信・還元を実践し、産学連携の活動を展開しているユニークな研究所です。

見学に先立ち、所長の藤井輝夫教授から生産技術研究所の概要説明があり、その後、野城智也教授から「情報と建築:デザインがイノベーションを牽引する“生活用IoT”を例に」、前田正史教授からは「資源・環境問題と科学技術(熱力学)」というテーマで講義がありました。

藤井所長による研究所概要説明
藤井所長による研究所概要説明
野城教授による講義
野城教授による講義
前田教授による講義
前田教授による講義

昼食会の後は、見学に先立って須田義大教授から「次世代モビリティ研究センター」の概要と、最近の自動運転に関する動向およびセンターの取り組みについて説明があり、ユニバーサル・ドライビング・シミュレータを見学しました。
その後、3つのグループに分かれて、竹内昌治研究室、加藤信介研究室、巻 俊宏研究室、次世代モビリティ研究センターの各研究室を見学しました。

竹内研究室では、MEMS((Micro Electro Mechanical Systems)やマイクロ流体デバイス技術を駆使して、DNAやタンパク質、脂質、細胞などの生体材料をデバイス中に適切に組み込み、生体や環境計測、創薬、医療などに応用する研究をしています。今回は特に、マイクロ加工技術を活かすことによる細胞を使ったモノづくりの話を聞きました。

次世代モビリティ研究センターの概要について説明する須田教授
次世代モビリティ研究センターの概要
について説明する須田教授
>ユニバーサル・ドライビング・シミュレータ
ユニバーサル・ドライビング・シミュレータ
研究について説明する竹内教授
研究について説明する竹内教授

サステナブル社会の建物内外の空気環境制御について研究をしている加藤研究室では、風洞模型実験に基づく都市の風環境について説明していただきました。受講生たちは秒速20メートルの風が吹く「環境無音風洞実験装置」に入り、風の強さを体験しました。

巻研究室では、最先端のロボット工学と情報処理技術を駆使して、新たな海中海底探査システムの提案、特に、AUV (Autonomous Underwater Vehicle, 自律型海中ロボット)をはじめとする複数の自律プラットフォームの連携により、船舶をベースとするこれまでの観測手法では考えられなかったような広範囲・高精度・長期間の海底観測を可能とするシステムの実現を目指しています。自律型海中ロボット「Tri-TON(トライトン)」を試験水槽に入れた実演では、コンピュータからの指示が届かない水中で、ロボット自らが状況を判断して動く様子を間近で見ることができました。

模型の前で説明する加藤教授
模型の前で説明する加藤教授
>風洞実験室で秒速20メートルを体験
風洞実験室で秒速20メートルを体験
自律型海中ロボット「Tri-TON」の解説をする巻准教授
自律型海中ロボット「Tri-TON」の
解説をする巻准教授

次世代モビリティ研究センターでは、次世代モビリティに関する分野横断研究の紹介として、中野公彦研究室、大石岳史研究室、大口 敬・井料美帆研究室を見学しました。
中野研究室では、 機械工学の知識を基に、アクティブ振動制御、エナジーハーベスティング(振動発電)、独立成分分析法などの多次元信号処理技術を用いた状態監視、生体信号計測、力覚支援操舵,自動車のヒューマン・マシーン・インターフェース評価、高齢者の運転特性など、モビリティを中心にして、計測と制御に関する研究を幅広く行っています。説明の後、ドライビング・シミュレータを使った運転支援技術のシミュレーションを見学・体験しました。

大石研究室では、カメラやレーザレンジセンサを用いた大規模構造物の3次元モデル化や解析・表示技術、複合現実感による可視化技術の開発を行っています。考古学や建築学といった分野の研究者と連携した学際的な研究や屋外における複合現実感(Mixed Reality: MR)技術(映像、音響)や、これを利用した観光、交通システムといった分野への応用の話を聞き、VRによるロボット操作支援を見学しました。

大口・井料研究室では、道路交通における渋滞・環境などの諸問題の解決やより高度な道路交通の実現のために、基礎的な理論から観測データに基づく純粋な交通工学的分析、シミュレーションを用いたケーススタディ分析など、交通工学を様々な視点・手法で研究しています。井料准教授より、交通流・渋滞などのシミュレーションの話を聞きました。

>ドライビング・シミュレータについて説明する中野准教授
ドライビング・シミュレータについて
説明する中野准教授
VRによるロボット操作支援について説明する大石准教授
VRによるロボット操作支援について
説明する大石准教授
研究について説明をする井料准教授
研究について説明をする井料准教授

分子レベルのミクロの世界から都市規模のマクロの世界まで、幅広い分野にまたがる研究室を訪問したことで最先端の実践技術に触れ、産学連携の最前線を体感することができた大変有意義な一日となりました。

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