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プログラムレポート ~先端科学技術研究センター見学(第15期)~

2016年7月20日

先端研敷地内にある斯波忠三郎の肖像レリーフ『航空』(飛行機をシンボル化したもの)(吉田三郎作、1935年)
先端研敷地内にある斯波忠三郎*の肖像
レリーフ『航空』(飛行機をシンボル化
したもの)(吉田三郎作、1935年)

EMP第15期では、7月15日に東京大学駒場リサーチキャンパスにある先端科学技術研究センター(以下、先端研)の見学を行いました。
先端研は、学術の発展と社会の変化から生じる新たな課題へ挑戦し、人間と社会に向かう先端科学技術の新領域を開拓することによって、科学技術の発展に貢献することを目的とした附置研究所です。「環境・エネルギー」「情報」「材料」「生物医化学」「バリアフリー」「社会科学」の六つの研究領域において、ダイナミックに研究活動が展開されており、そこで行われている研究活動の実際に触れてきました。   *斯波忠三郎:先端研の前身である東京帝国大学航空研究所の初代所長

はじめに、先端研所長の神崎亮平教授から先端研における研究活動の概要についての説明がありました。それに引き続き、先端研の中邑賢龍教授から「バリアフリー ~スマホ時代の学び方・働き方~」、瀬川浩司教授からは「次世代有機系太陽電池の開発」というテーマで講義がありました。

神崎所長による先端研紹介
神崎所長による先端研紹介
中邑教授による講義
中邑教授による講義
瀬川教授による講義
瀬川教授による講義


午前中の講師や午後の見学コースの研究者たちとの昼食会後、午後は三つのグループに分かれて、五つの研究室の見学をしました。
材料領域 量子情報物理工学分野 中村・宇佐見研究室では、量子力学の原理に基づいた新しい情報処理・通信・高精度計測などを目指す量子情報科学の発展に、物理と工学の側面から取り組んでいます。中村泰信教授より量子情報処理に向けたデバイス技術についての研究のお話を聞いた後、山崎歴舟助教の案内で実験室の見学を行いました。

バリアフリー領域 人間支援工学分野の中邑・近藤研究室では、学際的、社会活動型アプローチによりバリアフリー社会の実現を目指し、身の回りにあるテクノロジーをいかに利用するかに焦点を当てたリアリティある研究を行っています。
この研究室では、巖淵守准教授からは、身の回りにあるテクノロジーを活用した重度障害者支援システム等のデモと説明がありました。続いて、近藤武夫准教授より、先導的障害者雇用推進プロジェクトの説明をしていただきました。

量子情報処理に向けたデバイス技術について説明する中村教授
量子情報処理に向けたデバイス技術
について説明する中村教授
重度障害者支援システムについて説明する巖淵准教授
重度障害者支援システム
について説明する巖淵准教授
先導的障害者雇用推進プロジェクトについて説明する近藤准教授
先導的障害者雇用推進プロジェクト
について説明する近藤准教授


環境・エネルギー領域 エネルギー・環境分野の瀬川研究室では、教養学部の内田聡特任教授から色素増感型太陽電池の展示物前で説明を聞いた後、色素増感太陽電池(微小セル)の作製・評価実験現場とドライルーム内に構築した10cm角サブモジュールの自動化試作ラインを見学しました。

生物医科学領域 ゲノムサイエンス分野の油谷浩幸研究室では、次世代シーケンサーやマイクロアレイ解析を用いて包括的に取得したゲノム、エピゲノム、トランスクリプトームなどの多重な生命情報を統合することによって、生命現象とりわけ癌などの疾患をシステムとして理解することを目指しています。辰野健二特任研究員からゲノム解析の原理の説明と医療応用の解説を聞いた後、ゲノム解析装置を見学しました。

情報領域 生命知能システム分野の神崎研究室では、昆虫科学が拓く新しい科学と技術について研究しています。昆虫の微小脳を調べる技術、つくる技術、そしてセンサやロボットへ利用する技術について話を聞き、研究室の見学しました。

色素増感太陽電池の製造ラインの見学
色素増感太陽電池の製造ラインの見学
ゲノム解析装置の前で説明する辰野特任准教授
ゲノム解析装置の前で説明する
辰野特任准教授

昆虫操縦型ロボット


今回の先端研見学会では、最先端の施設を活用し、「人間と社会に向かう先端科学技術の新領域開拓」の現場を垣間見ることができた一日でした。

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