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プログラムレポート ~柏キャンパス見学(第23期)~

2020年12月19日

柏キャンパス・物性研究所の概要説明をする森所長
柏キャンパス・物性研究所の
概要説明をする森所長

新型コロナ感染拡大に伴い、EMP第23期の柏キャンパス(千葉県柏市)の施設見学は、12月11日、オンラインで実施されました。柏キャンパスは2000年に新しい学問領域の創造を目指して開設され、様々な新しい取り組みが行われています。最先端分野の研究施設や国際キャンパスとしての施設も充実しています。

最初に、物性研究所長の森初果教授から、柏キャンパスと物性研究所の概要、物性科学について分かりやすく説明していただきました。続いて、小林洋平教授の案内でバーチャル物性研究所ツアーを行いました。

次に、金道浩一教授の案内で国際超強磁場実験施設の見学をしました。この施設は、世界で最も強い磁場を発生でき、最も優れた長時間パルス磁場を発生できることから、国内外の強い磁場を必要とする物性共同研究などに寄与しています。最初の見学は、破壊型の電磁濃縮超強磁場発生装置で、松田康弘准教授に説明していただきました。巨大なコンデンサーに貯められた膨大な電流を一気に流すことで、700~1,200テスラに及ぶ超強力な磁場を瞬間的に発生させることができます。実際に、電磁濃縮超強磁場発生装置に金属リングを入れ、種磁場を発生させて高速収縮実験をするところを生中継で見せていただきました。 次は徳永将史准教授と小濱芳允准教授の案内で世界最強の非破壊型パルスマグネットで発生される装置を説明していただきました。最後に、金道教授からギネスブックにも登録されている世界最大の発電能力を有する直流発電機としてフライホイール付き直流発電機の説明をしていただきました。

電磁濃縮法のコイルについて説明する松田准教授
電磁濃縮法のコイルについて
説明する松田准教授
実験中の電磁濃縮超強磁場発生装置
実験中の電磁濃縮超強磁場発生装置
実験後のコイル
実験後のコイル

非破壊型パルスマグネットを説明する徳永准教授
非破壊型パルスマグネットを説明する
徳永准教授
非破壊型実験装置を説明するする小濱准教授
非破壊型実験装置を説明するする
小濱准教授
フライホイール型直流発電機を説明する金道教授
フライホイール型直流発電機を説明する金道教授

先端分光実験棟で最先端レーザー開発を説明する小林教授
先端分光実験棟で最先端レーザー開発を説明する小林教授

休憩の後、小林洋平教授から極限コヒーレント光科学研究センターの先端分光実験棟の案内をしていただきました。先端分光実験棟では、大規模なクリーンルームと除振床を設置し、極限的性能を持つレーザーの開発やレーザーを用いた物性研究を行っています。小林教授の研究室では、最先端レーザーの研究開発とそれを用いた精密・高強度光科学の研究、光源応用として光電子分光、光原子時計、天文、医療に関する研究を行っています。

昼食後は、カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の副機構長/特任教授の佐々木節教授からKavli IPMUの概要を説明していただきました。Kavli IPMUは世界中から数学、物理学、天文学の研究者を集め、共同で宇宙の謎に挑んでいます。専任研究者の半数以上は外国人で、公用語は英語という国際性の高い施設です。概要説明のあと、Kavli IPMU広報担当の小森真里奈専門職員から各施設を詳しくオンラインで説明していただきました。建物の中央(3階)にある広々としたラウンジでの午後3時のティータイムには、全ての研究者が参加することが課せられており、研究者間での活発な議論が行われているそうです。

Kavli IPMUの概要説明をする佐々木副機構長
Kavli IPMUの概要説明をする
佐々木副機構長
Kavli IPMUの建物
Kavli IPMUの建物
3階のラウンジ
3階のラウンジ

最後の施設見学は、生産技術研究所大規模実験高度解析推進基盤(旧千葉実験所)です。2017年4月に千葉市から柏キャンパス内に機能移転しました。航空機の格納庫のような大空間実験室を備えた研究実験棟Ⅰ、充実した海洋工学水槽施設を有する研究実験棟Ⅱ、ITS(高度道路交通システム)関連研究に代表される大規模な屋外実験を行う実験フィールド、特徴的な張力バランス制御を駆使したテンセグリティー構造モデルスペース(ホワイトライノⅡ)等が新営され、幅広い研究活動を特徴づける重要な役割を担っています。

まずはじめに副基盤長の北澤大輔教授から大規模実験高度解析推進基盤の概要を説明していただきました。次に、ITS副センター長の中野公彦教授、郭鐘聲(クァク・ジョンソン)特任助教からITS実験フィールド、ドライビングシミュレータ、信号機実験設備、自動運転バスの紹介と説明をしていただきました。ITS は、「人~インフラ~移動体が情報通信で結ばれた環境下で、移動に関する安全・安心、環境・効率、快適・利便の向上に寄与する一連の技術や、社会・経済制度全般を対象としたイノベーション」であると位置付けられています。

大規模実験高度解析推進基盤の概要を説明する北澤教授
大規模実験高度解析推進基盤の概要を説明する北澤教授
ITSの説明をする中野教授、郭特任助教 ITSの説明をする中野教授、郭特任助教
ITSの説明をする中野教授、郭特任助教


次に、北澤教授から海洋工学水槽設備の紹介がありました。この水槽設備では、海洋空間利用、海洋環境計測、海洋資源開発などに必要な要素技術の開発に関連する実験・観測を行っています。実際に海洋工学水槽で大型波を起こし、映像で見せていただきました。

海洋工学水槽
海洋工学水槽
大型波を起こしたときの水槽表面
大型波を起こしたときの水槽表面


最後に、川口健一教授からは「テンセグリティ建築ーWhite Rhino II 細胞と建築をむすぶ骨組み」と題して、「Maxwellの公式」から始まり、受講生とのクイズを交えたり、骨組みのモデルも見せながら、空間構造工学について分かりやすく解説していただきました。柏キャンパスには、テンセグリティ構造のホワイトライノⅡがありますが、その写真を見ながら説明していただきました。川口研究室では立体構造の持つ優位性を生かした種々の構造物の研究開発を行っています。

骨組みのモデルを見せる川口教授
骨組みのモデルを見せる川口教授
テンセグリティ構造のホワイトライノⅡの内部
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テンセグリティ構造のホワイトライノⅡの内部


今回の柏キャンパスはオンラインでの見学でしたが、リアルタイムで実験の様子を見たり、最先端の研究に取り組む研究の現場を十分身近に感じることができました。座学では得ることのできない貴重な体験ができた一日でした。

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