お知らせ

プログラムレポート ~農学デー(第23期)~

2020年11月30日

新型コロナ感染拡大に伴い、EMP第23期の「農学デー」の農学実験と植物医科学実習は、11月27日、オンラインで実施されました。

まず、難波成任名誉教授・特任教授から農学生命科学研究科がある弥生キャンパスの由来と、植物病理学研究室全体の説明がありました。

次に、農学生命科学研究科・植物病理学研究室の山次康幸教授は、電子顕微鏡室から中継で電子顕微鏡について説明されました。通常の顕微鏡(光学顕微鏡)では、観察したい対象に光(可視光線)をあてて拡大(1000倍)するのに対し、光の代わりに電子(電子線)をあてて拡大するのが電子顕微鏡で、約100万倍まで拡大できます。実際に植物のウイルスを電子顕微鏡で見せていただきました。

弥生キャンパス由来を説明する難波特任教授
弥生キャンパスの由来を説明する
難波特任教授
電子顕微鏡を説明する山次教授
電子顕微鏡を説明する山次教授
電子顕微鏡で見た植物のウイルス
電子顕微鏡で見た植物のウイルス


続いて、東大植物病院で開発されたプラムポックスウイルス(PPV)検出キットを使い、イムノクロマト法とLAMP法による植物からのウイルス検出を一人ひとり実際に体験しました。
PPVは、約30年前から国内に侵入し大発生していることが東大植物病院で確認され、その後国が全国調査に乗り出しました。その際に、問題となっているPPVの全国調査と感染樹伐採のために、このウイルス検出キットが開発されました。このキットを利用した調査により、PPVが全国の梅の樹に発生していることが分かりました。これまで梅や桃の樹が200万本以上検査され、陽性だった樹が約40万本伐採されました。
次に、研究室で発見したウイルス抵抗性遺伝子を導入し発現している植物に緑や赤に光るウイルスを感染させ、光るウイルスを利用してウイルス抵抗性を可視化した実験では、暗くした部屋で植物に紫外線を照射し、光るウイルスに感染した植物の様子を中継で見せていただきました。

イムノクロマト法によるウイルス検出の体験  イムノクロマト法によるウイルス検出の体験
イムノクロマト法によるウイルス検出の体験
光るウイルスに感染した植物
光るウイルスに感染した植物


金子教授による講義
金子教授による講義

農学実験のあと、金子豊二教授による「海と魚と川の魚」と、難波教授による「生命を操る謎の最近ー創造する破壊者 ファイトプラズマ」の講義がありました。

午後の後半は植物医科学実習で、三つのチームに分かれ、植物病の観察と診断、そしてチーム発表がありました。それぞれのチームには白石俊昌 日本植物医師会長、市川和規 特任教授、渡邊健 特任教授がリモートで指導にあたりました。実際にオンンラインでナスとサツマイモの検体を顕微鏡を使って病変や罹患部組織を観察しました。観察結果と植物病の図鑑とを照らし合わせながら、チームで議論、診断するという植物医師の仕事を体験しました。

三つのチームに分かれてオンラインで植物病の観察と診断  三つのチームに分かれてオンラインで植物病の観察と診断  三つのチームに分かれてオンラインで植物病の観察と診断
三つのチームに分かれてオンラインで植物病の観察と診断

受講生からは、リモートではあったがいろいろ工夫され、「植物病」の概念と実態に触れることができ、これまで何気なく眺めてきた植物に対する意識が変わったという声が多く聞かれました。

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