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プログラムレポート ~宇宙と「無」:星空観望と坐禅(第23期)~

2020年11月20日

EMPのハイライトの一つである「星空観望会」と「坐禅研修」は、今回は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、いつもとは場所を変えて実施しました。

11月13日午後4時過ぎに本郷キャンパスを出発。ちょうど日が暮れかかった午後5時前に六本木ヒルズ森タワーに到着し、観望会会場の屋上に直行しました。絶好の天候に恵まれ、夕暮れの富士山や東京タワー、スカイツリーも眺めながら、今期の対象である土星、木星(ガリレオ衛星)、火星、翌日の公案のテーマのひとつにもなっているアンドロメダ銀河(M31)をはっきりと観ることができました。岡村定矩名誉教授(東大EMPチェアマン補佐)による解説で、皆、童心に返って星空を見上げていました。とくに、地球から約230万光年の距離に位置するアンドロメダ銀河は今回初導入したeVscopeで手にとるように鮮明に見ることができました。

星空観望の後は、室内に移動し、高梨直紘特任准教授による国立天文台が開発した4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka(ミタカ)」を用いたプレゼンテーションがありました。地球から宇宙の果てまでを自由に移動して俯瞰し、最新の研究や観測にもとづいて宇宙の姿を描いた「宇宙図」と併せて見ることで、私たちがどのような世界にいるのか、更に理解が深まったようです。

六本木ヒルズ屋上からの東京タワー
六本木ヒルズ屋上からの東京タワー
六本木ヒルズ屋上からの富士山
六本木ヒルズ屋上からの富士山
星空観望の様子
星空観望の様子


eVscope
eVscope
eVscopeで観たアンドロメダ銀河
eVscopeで観たアンドロメダ銀河
高梨特任准教授によるプレゼンテーション
高梨特任准教授による
プレゼンテーション


翌日(11月14日)は伊藤国際学術研究センター3Fの中教室に畳を敷き禅堂にして、真義臨済禅宗管長、元臨済宗向嶽寺派向嶽寺僧堂師家・小島岱山老師による「人間と自由」についての提唱、坐禅と公案(禅問答)の実習を行いました。

茶禮で講話する小島老師
茶禮で講話する小島老師

小島老師との一対一の公案では、予め出された問いに対して、一人ひとり自分の考えを答えるものです。今回も代表的な『無門関』の「無字の公案」から問いが出されました。いったい何と答えてよいのやら、考えれば考えるほど分からなくなる問いですが、ヒントはアタマで考えるのではなく、創造的直観力で「主客一体」となるということだそうです。 この公案の実践は、ほとんどの受講生にとって初めての体験で、小島老師との熱い対話はかなりインパクトがあったようです。受講生からは、非日常的な体験を通し、体で感じ取っていくことの大切さを実感した得がたい体験だったという声が多く聞かれました。

7時間にもおよぶ坐禅研修は、脚の痺れや痛みもありましたが、普段の座学から離れて夜空の下で壮大な宇宙に考えを馳せ、坐禅や公案を通して自己の小宇宙と大宇宙を探求した2日間でした。

坐禅実修風景 坐禅実修風景
坐禅実習風景
正座で独参(老師との一対一問答)
正座で独参(老師との一対一問答)
の順番を待つ


坐禅実習風景 坐禅実習風景
坐禅実習風景