ごあいさつ

- 「東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム」への期待 -
東京大学総長 五神 真
東京大学総長 五神 真

2008年10月に開講した東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大EMP)は13年目を迎えました。このプログラムは、東京大学がこれまで培ってきた最先端かつ多様な知的資産を資源とし、マネジメントの知識や幅広い教養を駆使して人類の蓄積を自在に使いこなす、高い総合能力を備えた人材を育成しようとするものです。

東大EMPでは、次世代のリーダーになるべき人材を対象に、東京大学独自の発想に基づいた「唯一無二」のプログラムを組み立て、一層多極化し、複雑化する世界においても通用する課題設定と解決の能力を身につける「場」を提供しております。開講以来、大企業だけでなく、中小・ベンチャー企業、そして行政機関、プロフェッショナル・ファーム等から高い志を持つ優れた受講生の参加を得ております。

人類活動を原因とする気候変動や新型コロナウイルス感染症のように、世界が過去に例を見ない人類共通の困難な諸課題に直面している今日、東京大学は、「本質を捉える知」、「他者を感じる力」、「先頭に立つ勇気」を備え、人類社会全体を豊かなものとすることに貢献する人材の育成を使命と捉えています。

「知」は、人間の思考を自由にするものです。多様で豊かな知の環境は、新しい課題に対して、これまでの手法や枠組みにとらわれず柔軟な発想をもってその解決をもたらす根元的な力となります。こうした知の創造と活用こそ、これからの持続性のある社会形成に必要不可欠です。東京大学では、教育を通じて学問的蓄積を社会に還元し、また研究面では大学外部の知的生産との協働により、学問と社会の結びつきを教育・研究の両面にわたって強めることを図っています。すなわち、東京大学は社会としっかりつながった「知の協創の場」となるのです。

本プログラムの趣旨をご理解頂き、多くの優秀な方々が参加くださることを心より願っております。そして、修了者が、プログラムで得た「教養・智慧」、「マネジメント知識」、「コミュニケーション技能」を社会の各分野で大いに活用し、世界的な存在感を持って活躍されることを期待いたします。

(2020年10月)

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